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『病気にならない体のつくりかた』アイスマン(ヴィム・ホフ)著、訳・小川彩子 Vol.160

もし「自律神経系」を自分でコントロールできるとしたらいろいろとメリットがありますよね。

しかし、人間が自分の意志でコントロールできるとは考えられていませんでした。

生命維持のために無意識に働くから「自律神経系」であって、それは当然のことでした。

本日ご紹介する一冊は、そんな常識を覆してくれた一冊『病気にならない体のつくりかた』。

タイトルだけ読めば、また食事や健康本の類と思ってしまいますが違います。

著者の名前は、ヴィム・ホフ。1959年4月20日生まれ。2018年現在59歳です。CM動画は削除されていますが、日本で2017年に明治プロビオヨーグルトR-1のCMに登場して話題となったあのアイスマンです。

著者は、「自立神経系は自分でコントロールできる。誰もが。」世界で初めてそう説いた人物です。

多くの医師が医学で学ぶことの反対のことを発言し異端に思われ続け、近年ヴィムの身体を医師が徹底検証し、科学的に証明され認めざるを得なくなりました。

本書には、「自律神経系」を上手くコントロールすることで、健康を保つ秘訣が書かれています。

10月下旬にレース参加のためにトルコへ行って、日中は10℃で夜は一桁台、まわりのヨーロッパ人ランナーたちはフリースやダウンを着ていた中で、一人だけ朝から晩まで半袖一枚で過ごすことができました。最近は寒空の下でもぽかぽかと身体が温かいのです。

旅行直前にたまたま本書と出会ったのですが、なぜ本書を手にしたかというと寒さにもっと強くなりたかったから(笑)

<ホップマンほかの調査(2013)によれば、氷に埋まっているときにヴィムの代謝率は300%にまで向上している。>

一般的には、寒いときのほうが基礎代謝が上がるとされていますが、それにしても驚異的な上昇値ですね。

<「コールド・トレーニング」を積み重ねることで、ヴィムは多くの「褐色脂肪」を持つようにもなった。これが身体を温かく保つことを、さらに容易にしている。>

「褐色脂肪」を活発に働かせるだけではく、ホフさんはそれ自体を増やすことができる、と。さすがにホフさんのように真冬の川に裸で泳ぐなど過酷な生活はできません。そこで、できるだけ手軽な方法として冷水シャワーが紹介されています。
彼に弟子入りをした人、第三者からの目線で書かれた本もほぼ同時期に出版されています。
※参考:『サバイバルボディー 人類の失われた身体能力を取り戻す』
本書が一貫して強調しているのは、今受けている病気の治療の中止を勧めるものではなく、また「従来の」治療を攻撃したり判断したりするつもりは毛頭ないということ。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう

▼本書より

ヴィムを何十年間も特異的な人物にしてきたパワーの秘密が近年、科学によって解明された。じつは人間は、生命維持のために無意識に働く「自律神経系」に影響を与えることが可能なのだ。

オランダ血栓症基金による調査では、毎日冷水シャワーを浴びる人も白血球が多い。

「コールド・トレーニング」は、太りすぎにも菌類やウィルスによる感染症にも、数々の体調不良にだって効く。さらに、ストレスや運動不足で収縮し血流を悪化させている血管を開放することまでできる。

一般には心拍は安定していたほうがいいと考えられがちだが、心拍の間隔には変化があることが大切だ。健康的な心拍は、安静時には行きを吐くときよりも吸うときのほうが速い状態にある。つまり呼吸にともなって心拍に変動が生じるわけだ。

抑うつやストレス、がんを患う人や終末期の人は、例外なく心拍変動が低い。

副交感神経系の活動低下と身体の健康上の問題のあいだに明らかな相関関係が見られた。また呼吸法によって副交感神経系を活性化できることも明らかになった。

呼吸に集中することは、心拍変動を向上させる最も簡単かつ効果的な方法だ。

必要以上に速く呼吸し続けていると、この補助呼吸筋に過剰な負担がかかるため筋肉が傷つき始める。これと同じことが、肩や首に生じるこりや痛みにも言える。

腸のトラブル。体内の酸素と二酸化炭素のバランスがくずれると、腸の活動に大きく影響する。

速く呼吸しすぎると身体は脂肪ではなくブドウ糖を使いだし、無駄に消費する。そのうちエネルギー不足に陥って身体は疲れてしまう。

ヴィム・ホフ・メソッドの「呼吸エクササイズ」を通して、平常時よりずっと多くの酸素が松果体に取り込まれるため、身体がより多くのメラトニンを生産するという仮説に至った。これによってが、時差ボケや睡眠障害、抑うつなどに非常に効果がある理由を説明できる。

2009年、齢五十を重ねたヴィムは究極のチャレンジに取り組んだ。気温マイナス16度という極寒のなかでのフルマラソンだけでは満足せず、常夏のリゾート地を彷彿とさせるショーツとサンダル姿で走った。もちろん靴下も履かずに。

挑戦の当日を迎え、走り始めたヴィムがいちばん心掛けたことは、適度なスピードを保つことだった。速く走りすぎると、エネルギーを消耗し深い呼吸が必要になる。マイナス16度のなかで、そんな呼吸を続けるのは不可能だ。逆に、ゆっくり走りすぎると凍える危険性が高まってしまう。

ヴィム・ホフ・メソッドを実践している人の驚くほど多くが、はだしで歩くようになる。10人にインタビューし、8人がはだしで歩くようになっていた。これは偶然ではありえない確率だ。

足には20万という膨大な数の神経終末がある。また、はだしになると靴を履いているときと歩き方が変わって、足の前部にもっと体重をかけるようになる。

1987年のジョギング愛好家17人についての研究では、4か月間靴を履かずに過ごすと、足の縦のアーチが約4.7ミリメートル短くなった。

▲ここまで
ランニングスポーツにおいて心拍は安定していたほうがいいと考えていましたが、心拍の間隔には変化があることが大切とは知りませんでした。

私は自律神経系をコントロールできるとまで言えませんが、日頃スポーツのアイシングを通じて体のケアを行っているので、本書の中で著者が紹介している「呼吸エクササイズ」や「コールド・トレーニング」の有効性はわかりました。

読むだけでなく、無理のない範囲でまず実行して欲しい、そんな一冊です。

本書の教えを実践すれば、すぐに結果が表れる、とまではいかなくても、呼吸を見直すきっかけにはなると思います。

ランニングレース中に腸のトラブルに悩まされやすい方、ハンガーノックに陥りやすい方にも有用な内容です。ぜひチェックしてみてください。




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