【あの最強トレイルランナーが食生活指南】
『低糖質&抗酸化ランニングのすすめ』鏑木毅、菊地恵観子・著 Vol.111
本日の一冊は、トレイルランナー鏑木毅さんの最新刊。「低糖質」と「抗酸化ランニング」この2つに絞った内容で、予防医学研究者で管理栄養士の菊地恵観子氏との共著。
鏑木さんによる食生活指南本、珍しいと思ったのは僕だけでしょうか。
鏑木さんのダイナミックストレッチ法やおすすめのトレーニング法、腕振りからフォームのアドバイスまで実写真付で紹介されており、これは読まない手はないでしょう。
階段一段抜かし歩き、ファルトレク、1分間インターバル、上り峠走、急坂ダッシュ、腿上げ、バウンディング…目新しいことは一つもないのですが、基本トレーニングの大切さを痛感させられる内容です。
さっそく、中身を見てみましょう。
▼本書より
体内に糖が多く残る場合は糖が優先的に使われてしまい、脂質はエネルギーとして使われにくくなる。
ジェルは繊維質を含まないブドウ糖なので、体内に消化・吸収されやすく、短時間でエネルギーになるのです。ジェル(ブドウ糖)の補給はエネルギー切れを防ぐためがほとんどですが、実は体内の脂肪を燃焼させる”着火剤”にもなります。脂質は糖質がないとエネルギーに変換できない仕組みになっているからです。
最も脂肪が燃焼しやすいのは運動強度が50%ぐらいの時であると言われているため、「ゆっくりペース」とは自分が出せる半分ぐらいの力で走ることを指します。
私(鏑木)は糖質のことを「速攻型エネルギー」で、脂質のことを「安定型エネルギー」と呼んでいます。
ランナーは長時間にわたり着地の衝撃を受ける分、溶血性貧血になるケースが多い。
腹回りに関しては、男性の場合胸囲が85cm以上、女性の場合90cm以上の場合、内臓脂肪型肥満の疑いありです。
運動後に糖質を抜く人も少なくありませんが、疲労回復の面からするとこれはNG。糖とタンパク質を同時に摂ることでタンパク質の吸収率が高まり、筋肉のリカバリーができるのです。
トレイルでのトレーニングは、より多くのエネルギーを作り出すカラダを作るための、効果的なトレーニングである可能性が高いのです。
腕の振りはカラダの後方で。両腕をカラダの前側で振ると肩甲骨の動きが小さくなり、同時に骨盤の前後運動が制限されてしまいます。腕振りの際には、両腕を「振る」感覚よりも、両ヒジを後ろに「引く」イメージで腕の付け根から大きく動かしましょう。
・下りのトレイルを走る3つのメリット
1つ目は体幹部の安定。2つ目は筋持久力のアップ。下りでの接地の時は、筋肉が伸びた状態で筋力が働く状態(エキセントリック筋収縮)になります。この状態が断続的に続くことで、筋時空力が鍛えられるのです。3つ目は、神経伝達系の刺激アップ。素早く脚を動かして地面に着地するので、瞬発力が身につき、ロードでの対応力が磨かれます。
抗酸化物質には、
①活性酸素の発生を防ぐ
②ほかの物質と酸素の結びつきを弱め、酸化しにくくする
③酸化生成物を無毒化する
④損傷した細胞を修復する という4つの働きがあります。
▲ここまで
運動までのおすすめの捕食、おすすめの間食まで具体的に食品例も上がっておりすぐに実践できるのがいいですね。
「ランナーは牛乳を飲もう」とありますが、個人的に万人にはおすすめできないと思っています。 なぜなら食べたものは「体に吸収されてはじめて効果がある」と考えているからで、僕自身は牛乳を飲むとすぐお腹が緩くなってしまいます。「牛乳などの乳製品は日本人の身体には合わない」とどこかで耳にした記憶がありますが、カルシウムも吸収されなければ意味がありません。
アドバイスの発言者が鏑木さんなのか、管理栄養士の菊地さんなのかがはっきりと区別されていないのが少し残念です。
現在40代、50代の方でこれからも自分の能力を向上させていきたいランナーの方はぜひチェックしてみてください。
【あの最強トレイルランナーが食生活指南】
管理人:大阪府生まれ。トレイルランナーズ大阪代表、米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ。2012年に起業、日本では数少ないマラソンとトレイルランニングの両面を指導できるランニングコーチ、マラソン作家。指導歴12年で、初心者にもわかりやすい指導と表現で定評がある。
自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。
2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。2024年10月にAmazon(アマゾン)より電子書籍『極寒!はじめての北極マラソン』を初出版。