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『結果を出し続けるフィジカルトレーナーの仕事』中野ジェームズ修一・著 Vol.117

投稿日:2017年1月25日 更新日:

【青学3連覇に貢献したトレーナーが語る仕事論】
『結果を出し続けるフィジカルトレーナーの仕事』中野ジェームズ修一・著 Vol.117
『結果を出し続けるフィジカルトレーナーの仕事』中野ジェームズ修一・著 Vol.116

本日の一冊は、30冊以上の著書を持つフィジカルトレーナーで、2014年から青山学院大学陸上競技部の専属トレーナーとしても活躍する中野ジェームズ修一さんによる、『結果を出し続けるための仕事論』。

本書は中野さんに『Sports Graphic Number』などに寄稿するスポーツライターの戸塚啓さんによるインタビュー形式となっています。

起業して個人トレーナーとして成功するためには知識だけでなくコミュニケーション力、人間力がバランス良くないといけませんが、中野さんは、そのすべての要素を持っています。

結果を出し続けながらも、試行錯誤を繰り返しながら、今も絶え間ない努力を続けている。

その姿勢は会社のマネジメントは他人に任せて自分は現場に専念していることからも見てとれます。

本書では、テニスの伊達公子選手、卓球の福原愛選手、バドミントンの藤井瑞希選手らとのエピソードと、選手たちからのメッセージから、トップアスリートの性格を知ることもできます。

青学陸上部に就任前の、原監督とのやりとりの幾つかを見て行きましょう。

<原監督のリクエストははっきりとしていました。『大学三大駅伝と呼ばれる出雲、全日本、箱根のなかでもっとも注目が集まり、選手たちの意欲も高い箱根駅伝で優勝したいのです。』 >

<それまでやっていた準備運動のストレッチ、補強トレーニングと呼ばれる筋力トレーニングを見せてもらいました。選手たちがやっていた体幹トレーニングは、すべてサッカー選手にふさわしいものでした。>

<「実際の指導をスタートする前に、原監督から言われました。『中野さん、どうにか選手に教え過ぎないでください。学生たちが自分で考えることを、習慣化させたいのです。走ることのトレーニングでも、私はまず頭で理解してもらうことをだ時にしています。』」>

著者も「結果を出し続けることに苦悩し続けている、ちょっと変わったフィジカルトレーナーの話が正確なタイトル」と自嘲しているとおり、反省点についても素直に話されている一冊です。

私も同じくスポーツが本業柄すぐ手にした新書でしたが、期待以上で読み耽ってしまいました。

ぜひおすすめしたい一冊です。

▼本書より

アスリートの日々のトレーニングから身体能力の強化、ケガの予防と回復などに関わるのが、フィジカルトレーナーの主な仕事である。

競技によって必要な筋肉や筋量は異なります。競技によって求められる動きは異なり、身体への負担も変わってくるからだ。

戦術、戦略、技術に決定的な違いがなければ、勝つための戦術や戦略を確実に遂行し、技術の精度を落とさないことが勝利を引き寄せるカギになります。

競技に特化したトレーニングをどれだけすればいいのか、どんなストレッチをどれだけすればいいのかを組み立てるのが、僕たちフィジカルトレーナーの仕事なのです。

手持ちの資格が多ければ、そのぶん更新に時間を充てなければならない。現在の仕事の中身とは、重なる部分の少ない資格もある。時間を有効活用するためにも、中野は更新するべき資格を見極めている。

スポーツを専門的に指導するには、身体の機能について知っておくことが必要です。運動、ケガ、栄養、生活様式などを、関連付けて考えることができなければならない。

選手たちには、「24時間365日営業しているから、もし何かあったら時間を気にせずに連絡してください」と伝えてあります。海外に滞在している選手の動きが分かるように、携帯電話の世界時計には、すべての選手の現地時間を設定しています。

契約しているアスリートの誰かから電話がかかってきたときに、適切なアドバイスができないと相手の不安を取り除くことができません。いつでもきちんと対応できるように、日本時間の夜でも酔ったりしないようにしたいんです。

「楽しいとか好きだと思える運動メニューがあれば、『仕事が忙しいから、今日はできなくてもしょうがない』と、自分を納得させたりはしないはずです。むしろ仕事でも家事でも何とかやり繰りして、運動するための時間をひねり出すのではないでしょうか。」

人間がモチベ―ションを持続するには、成功体験だけでは不十分です。成功体験に加えて、達成感が必要です。

長友選手が実践している体幹トレーニングは、サッカー選手にとってはとてもいいものです。けれど、他の競技に直結するものではありません。駅伝は違いますよね。基本的に身体をひねらないし、ストップやターンもない。安定した姿勢で真っ直ぐに走ることが求められるスポーツです。

腹筋運動で鍛える腹直筋は、体幹を安定させるための筋肉ではなく、身体を反らすところから上げるときに使うものです。走りながら、体は反るでしょうか?その動作をしないのですから、腹筋が割れるようになるまで鍛える必要はないんです。

【青学3連覇に貢献したトレーナーが語る仕事論】
『結果を出し続けるフィジカルトレーナーの仕事』中野ジェームズ修一・著 Vol.116







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“キャプテン”安藤大(あんどう ひろし)
トレイルランナーズ大阪代表
米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ
マラソン作家

日本では数少ないマラソンとトレイルランの両面を指導できるランニングコーチ、マラソン作家。指導歴12年で、初心者にもわかりやすい指導と表現で定評がある。

自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。

2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。

2024年10月に電子書籍『極寒!はじめての北極マラソン』を初出版。

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