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おすすめランニング本

『大転子ウォーキング』みやすのんき・著 Vol.120

投稿日:2017年2月10日 更新日:

【実はその歩き方は勘違い?正しい歩き方の教科書】
『大転子ウォーキング』みやすのんき・著 Vol.120

『大転子ウォーキング』みやすのんき・著 Vol.120

あっという間にスタスタと登っていく年配登山者の方を目にして驚いたことがある。

急な上り坂で歩くのが遅く、レースではいつも追い抜かれてしまう。

歩き始めた瞬間に次々と追い抜かされていく。

経験や脚力、心肺機能の問題?もちろんそれも一因にあるでしょう。

年齢の問題?イタリアの伝説のランナー、マルコ・オルモ選手は57歳、58歳の時にウルトラトレイル・デュ・モンブラン/Ultra-trail du Mont-Blancを今より若いトレイルランナー鏑木毅さんを破って、21時間31分58秒でゴールしています。

一番の理由は、ランナーはランニングについては人や本から熱心に勉強されていますが、歩き方についてはちゃんと学んだことがない人が多い(誰もができる基本動作だけに)からだと個人的には思っています。だから走りから歩きに入った途端に苦手になってしまう。「えっ、日ごろ二本足できちんと歩いています」と反論される方がいるかもしれませんが”正しい歩き方”についてです。

100kmのウルトラマラソンでも後半になれば、多くの選手が歩きに入ります。そこで走れなくなった途端に意気消沈されますが「ウォーキング大会が始まった」ということです。

夢見る選手も多い2大会。ウルトラトレイル・マウントフジ/ULTRA-TRAIL Mt.FUJIは「マラソン+トレイルラン大会」と言えますが、フランスのウルトラトレイル・デュ・モンブラン/Ultra-trail du Mont-Blancはトップアスリートを除いて「スピードハイキング大会」です。

それにも関わらず、練習量(月間走行距離)を増やすことに注力するランナーの話をよく耳にします。本当に必要なことは、山へ行って長時間歩き続けたり、重い荷物を背負って長時間歩き続けたりすることなのです。

トレイルランニングではトップ選手を除けばほとんどの人が全区間を走り続けるわけではありません。むしろ走っている時間よりも歩いている時間の方が長い選手もいます。

ランニングだけを学ぶのではなく、歩き方について学んでおくことが大切です。
本日ご紹介する一冊は、Amazonベストセラー『走れ!マンガ家ひぃこらサブスリー』 の著者で、漫画家のみやすのんき氏による新しい歩き方の指南書。

※参考:『走れ!マンガ家ひぃこらサブスリー』
https://goo.gl/4DgbpC

一般的な健康のためにウォーキングを薦める本ではなく、歩き方について今一度再考した、意欲的な一冊です。

著者によると、<厚生労働省が2006年に出した「健康づくりのための運動指針」に掲載されている『速歩きの理想的なフォーム』実はまったくの勘違いだったのです。こんな歩き方をすればするほど遅くなります。>

早速中身を見てみましょう。

免疫力は、体温が1度下がるだけで30%低下します。免疫力が低下すると白血球の活動が鈍くなるため、ウィルスや最近に感染しやすくなり、風邪など様々なトラブルを引き起こします。

筋肉が少なくなると、体温が下がり、基礎代謝も下がります。

ウォーキングには大きな健康効果があるといわれています。心肺機能を高め、血液の循環を促し、基礎代謝を高めます。結果、足や体幹の筋肉や骨量の増大は元より、癌やうつ病、認知症の予防、肥満による高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症の防止、自律神経の改善、ストレス解消など数えればきりがありません。

骨盤を使った人間本来の歩き方では歩きスマホなんてできない。

人間が歩くときに腕は勝手に無意識に振られます。腕振りもやはり半不随意運動なのです。

腕を動かさずに歩いても上体が振れていない場合、骨盤が動いていないということです。

大抵のご年配の方は足幅を広く保ち、歩幅が狭くなるような歩き方になります。

人間の歩行は、股関節や膝が脱力して足を振り子のように振り出して進みます。これを二重振り子歩行といいます。だから長時間歩けるのです。

「頭を天から糸で引っ張られるように歩きましょう」という意識付けです。ますます骨盤が伸びきって足を真下で前後する動きになっています。歩くというのは骨盤を横に使う感覚なのです。

骨や筋肉がどうついているか、どう動いているか理解しているだけで歩き方の効率はずっとよくなる。

動きを意識するだけで筋肉の付き方が変わっていきます。大臀筋の場合、垂れ尻からキュッと締まった 張りのあるお尻に生まれ変われます。

人間本来の前に進む動きは、膝を曲げて着地の衝撃を吸収し、歩いたり走ったりするようになっている。それをごまかすように踵からガンガン膝を曲げずに着地できるのは現在のクッションが利いたシューズの性能に頼っているからです。

歩く動作も股関節周りのお尻や大腿の筋肉など、体幹に近いところで動かしてやるのが正しく、疲れにくいのです。

離地の時点で膝を伸ばすのはよく美容系の女性雑誌で掲載されていますが、まさに外見の美しさのみを意識した歩き方です。

今回も「膝をまっすぐ伸ばして踵から着地しましょう」「大股で元気よく歩きましょう」「身体をねじりながら腕を強く前後に振りましょう」「足の親指で力強く蹴りだして進みましょう」「骨盤を前傾させて歩きましょう」など、ウォーキング業界にはびこる”常識”がひと通り著者によって提言し直されています。

トレイルランの上りでの歩き方、日ごろの歩き方を見つめ直す、いい機会をいただきました。

私は日ごろからカバンは持たないのですが(自然に腕が振れず身体のバランスが崩れるため)、本書を読んで、あらためて歩きスマホや歩きカバンの両方をやめることを決めました。仕事でどうしてもカバンを持ち歩かなければならない場合には必ず肩から下げて両手はフリーにしています。

日ごろウォーキング愛好家の方や山歩きに親しまれている方、ぜひ買って読んでみてください。

【実はその歩き方は勘違い?正しい歩き方の教科書】
『大転子ウォーキング』みやすのんき・著 Vol.120







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“キャプテン”安藤大(あんどう ひろし)
トレイルランナーズ大阪代表
米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ
マラソン作家

日本では数少ないマラソンとトレイルランの両面を指導できるランニングコーチ、マラソン作家。指導歴12年で、初心者にもわかりやすい指導と表現で定評がある。

自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。

2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。

2024年10月に電子書籍『極寒!はじめての北極マラソン』を初出版。

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