【ランニングフォームの基本イメージを身に着けるために】
『誰も教えてくれなかったマラソンフォームの基本』みやすのんき・著 Vol.135

皆さんは、自分の理想とするランニングフォームの基本イメージを持っていますか?
本日ご紹介する一冊は、『走れ!マンガ家 ひいこらサブスリー』を発売するや一躍ベストセラーとなった、みやすのんき氏による注目の新刊。著者は50代から走り始め、ランナー競技人口の3%といわれるフルマラソン3時間以内達成ランナーであり、本業は漫画家。帯の「ケニア人の走りに学べ!」が目立ちます。
※参考:『走れ!マンガ家 ひいこらサブスリー』
※参考:『「大転子ランニング」で走れ!マンガ家 53歳でもサブスリー』
ここ最近のランニング本は、体幹トレーニングやストレッチに関する内容ばかりで、あらためてランニングフォームについてここまで詳しく解説した本は少ないので、注目を浴びたのかもしれません。
まずはじめにこの本、読むだけで速くなりません(フォームは改善されません)。
これまで多くのランニング本を読んできた研究熱心なランナーには”良薬”ともなりますし、初心者ランナーには 「お尻の筋肉を使うな?」「腕は振らなくていい?」かえって頭の中が混乱する”劇薬”ともなる一冊です。
本書で”理想的なランニングフォーム”として写真紹介されているケニア人ランナーは、サイラス・ジュイ選手。サイラス・ジュイって」誰?という方は、「ドラマ「陸王」で豊橋国際マラソンの場面で登場」そう言えば、あっ!と思い出す人もいるかもしれません。
本書の中身を一部見てみましょう。
・骨盤から上を意識的にひねらない
・ランニング時の着地は1本のラインに限りなく近づいていきます。
・片足立ちで支持脚の真上に頭があると、体の中心軸がブレずに安定感が出ます。
・ランニングは上に跳ぶのではなく水平方向に大きく移動する運動です。その鍵を握っているのはダイナミックな骨盤の動きです。
・LSD(ロング・スロー・ディスダンス)ばかりでは速くならない
・ジョグの真の目的は、体の芯の意識づけ
本書の中で特にランナーの皆さまに参考になると思うところは、「効率のよい走り方を身に着けるためには、効率のよい歩き方を身につけなければならない」ということ。
「フォームの基本はわかった。それで具体的にどのようなトレーニングで習得していけばいいの?(ランニングに必要な柔軟性、可動域を含めて高めていけばいいの?)」前作、前々作と同じく具体的なトレーニング例に乏しいのは残念ですが、自分のイメージと実際の動きを照らし合わせるのに本書は役立ちます。
ランナーの皆さまは練習会でコーチから「腕振りができていない」「姿勢が悪い」「骨盤が使えていない」体の部分、部分でアドバイスされた人は多いと思います。しかし、ランニングに限らずスポーツの動作というのは上半身や下半身、体全体の動きで捉え習得していくもの。本書を読むことで、ランニング動作全体で理解を深めることができます。
日々のランニング練習では脚力や心肺機能向上を目的とするほか「自分のイメージと実際の動きのずれ」を良いフォームに修正していくこともあります。ところが、僕がマラソンコーチ指導をしていて、その「自分の理想的なランニング基本イメージ」を正しく持てていないランナーの多さに気づきます。 思い描いているフォーム基本のイメージが違っていれば、結果も正しく出るはずがありません。
冒頭で「この本、読むだけで速くなりません」と書きましたが、実際に本書の内容と自分の動きを日々のランニング練習で照らし合わせ、自分で気づくことができたときに始めて身になります。そのためには多くの人にとって2度、3度と繰り返し読む一冊になり、過去の運動歴や人によっては気づきに2年、3年とかかる人もいることでしょう。
中国や台湾など海外翻訳されれば、海外でも話題のベストセラーになりそうな一冊。
著者の処女作「ひいこら~」をまだお読みでない方は、まずはそちらから読むことをおすすめします。ぜひチェックしてみてください。
【目次】
第1章 正しい筋出力と方向を意識するだけで速くなる
第2章 ジョグの大切さと危うさを認識する
第3章 地面と唯一接する足裏の動きを理解する
第4章 地面のスピードに合わせた膝に優しい着地を獲得する
第5章 足の回転を効率よくする先取り感覚を磨く
第6章 股関節筋群を使ったSSCで弾性エネルギーを狙う
第7章 腕振りの重要性と免震バランスを考察する
第8章 体幹と骨盤を使いブレのない走りを目指す
【ランニングフォームの基本イメージを身に着けるために】
『誰も教えてくれなかったマラソンフォームの基本』みやすのんき・著 Vol.135
