おすすめランニング本

『一流の睡眠―医師が教える快眠戦略』裴英洙・著 Vol.140

 
【忙しい現代人の生活に合わせた睡眠術】
『一流の睡眠―医師が教える快眠戦略』裴英洙・著 Vol.140
『一流の睡眠―医師が教える快眠戦略』裴英洙・著 Vol.140
こんにちは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
 
 
本日ご紹介するのは、マラソンで安定したパフォーマンスを発揮するための睡眠管理の本。
 
著者は、現役の医師・医学博士で医療機関の経営支援を行いながら、本まで出版する異色の肩書きを持つ、裴英洙(Hai Eishu)さん。出版は2016年と少し古い本ですが、役立つエッセンスが詰まっています。
 
ランニング練習時間の確保にばかり目がいき、睡眠の質を軽視するランナーも少なくないように思います。日本山岳耐久レース、100kmや100マイルを超えるウルトラトレイルの大会でレース中にかくっと寝落ちしそうになる人は体の疲れだけでなく、日ごろの睡眠の質の悪さも原因かもしれません。
 
そう考えるとレースではなく日ごろの生活、睡眠から見直す必要があります。
 
2013年の研究では、思春期のアスリートにおける平均睡眠時間が1日8時間以下の場合、8時間以上のアスリートに比べてケガの発生リスクが1.7倍増加するとあります。
 
ウサイン・ボルトやリオネル・メッシ、ノバク・ジョコビッチは1日10時間以上寝ていることはよく知られ、オーストラリアのアスリートの平均睡眠時間は8時間で、日本のアスリートの平均睡眠時間は7時間で、日本は先進国と比較して世界でもアスリートの睡眠時間が短い国だそうです。
 
ちなみに僕自身は毎日22時から23時の間にはベッドに入り、1日8時間は睡眠を確保するようにしています。睡眠の質は、「Sleep Cycle」というスマートフォンの睡眠アプリで管理をしています。自動的にレム睡眠(眠りの浅い状態)の時に目覚ましを鳴らしてくれるので、朝の目覚めもすっきりで便利です。トレイルを案内するからには寝不足からくる集中力や判断力の低下などはあってはならないと考えているから。幸いにも何十年とランニング中のケガはなく、20時間を超えるロングレースでも睡魔を感じたことはありません。
 
早速、本書のアドバイスを見てみましょう。
 
▼本書より
 
「快眠戦略」のためには...
①「睡眠時間の確保」ではなく「熟睡週間の獲得」を目指す
②1日の始まりを「起床時」ではなく「就寝時」に切り替える
③イレギュラーな事態でもパフォーマンスを落とさない「対処法」を身に着ける
 
寝る前の30分のネットサーフィンを1か月やめるだけで、1日分の労働時間が確保できる。
 
一般的な人が目指すべきすみん効率の合格ラインは、「85%以上。」
睡眠効率=「実質の睡眠時間」÷「横になっていた時間」×100
 
残業時は「19~21時」に体を動かせ。
 
平成23年の日本人の平均睡眠時間は、年齢別の睡眠時間を見ると、男女ともに「45~49歳」が最も短い。
 
OECD(経済協力開発機構)が2014年に行った国際比較調査のうち、各国の15~64歳までの男女の睡眠時間を比べてみると、日本人は男性が3番目に短く、女性は最も短かった。
 
「日本・アメリカ・フランスの3か国で、30歳以上の成人6973人」を対象にした大規模なアンケート調査では、フランスやアメリカと比較して、日本人の睡眠時間は短く、かつ睡眠時間も睡眠に対する満足度も低い。
 
自分に合わない睡眠時間を無理に続けようとすると、かえって体調を崩す原因になりかねません。絶対的な睡眠時間を信じて探すことには、意味がない。
 
糖尿病や高血圧、うつ病などにかかる確率は、7~8時間前後の睡眠をとっている人が最も少ない。
 
悩みや不安は、自分の行動で対処できることだけに絞り、あとは考えない。
 
週末に長く寝ると体調が回復することがあります。しかし、それは「寝貯め」ではなく、睡眠不足を補っているだけです。平日に理想的な睡眠時間より不足した時間を「借金」と考えれば、週末に借金返済しているわけです。医学的にも「睡眠負債」という概念があります。
 
通勤経路は、できるだけ朝日を浴びながら歩き、電車の中では、車窓から外の景色を眺められる場所に立つ。
 
私は断然「朝食推進派」です。血糖値を上げることで頭の冴えや脳の動きに良い働きがあることと、何よりも、「快便」をもたらすことで体全体のリズムに良い影響を与えるからです。
 
ランチを「腹八分目」にしても睡魔は必ず襲ってくる。人間は1日に2度、眠気のピークが訪れます。最大のピークは午前2~4時で、眠りが最も深くなる時間帯です。そして、2回目のピークが訪れるのが、午後2~4時なのです。
 
20分以上寝てしまうと、脳は熟睡モードに切り替わり、昼食後も慢性的な眠気が続いてしまう。
 
カフェインの血中濃度の上昇は、アイスコーヒーはホットコーヒーに比べて若干遅くなります。
 
カフェインを摂取するよりも1度の昼寝が眠気を吹き飛ばす。
 
お風呂で温まって少し体温を上げると、そのあと、体温が下がります。この変化によって、心地よい深い眠りが得られるのです。
 
▲ここまで
 
本書は「正しい睡眠とは」について書かれたものではなく、忙しい現代人に合わせて書かれていることが特徴です。
 
本書の考え方を実行するには、仕事から帰宅してからランニング練習をするランナーも多いと思いますが、それでは遅すぎて睡眠に影響が出て、やはり帰宅途中での通勤ランが最適になります。
 
ぜひチェックしてみてください。
 
【忙しい現代人の生活に合わせた睡眠術】
『一流の睡眠―医師が教える快眠戦略』裴英洙・著 Vol.140




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