
スポーツとしてのトレイルランニング競技は元々はヨーロッパやアメリカが盛んです。オリエンテーリングやクロスカントリー大会も多く開催されています。
そこで海外アメリカのトレイルランニング入門書ではどのようなアドバイスが書かれているか、気になりませんか?
ところが、海外ではトレイルランニング書籍はあまり見かけず(情報雑誌やサイトは溢れていますが)、入門書が出始めたのはここ最近のこと。欧米に比べてスポーツ競技人口の少ない日本国内の方が多くのトレイルランニング書籍が出版されています。
参考:『Running Your First Ultra』Your First 50K to 100-mile http://www.trailrunrun.com/blog/?p=1483
そのためさまざまな国の海外レースに出場した私の経験から見て、トレイルでもロードのランニングの走りで四苦八苦している、特に下り坂を苦手とするランナーが多いように思います。
本日は、『Where the Road Ends(ウェア・ザ・ロード・エンズ)』。 著者はアメリカのトレイルランニング情報ブログとして世界的な知名度と人気を誇る 「iRunFar.com」編集長のBryon Powell/ブライアン・ パウエルとMeghan.Hicks/ミーガン・ヒックスの共著 です。
両氏ともにウルトラランナーでMeghan.Hicksは2013年にモロッコで行われた250km砂漠マラソンで女子優勝、Bryon Powell氏はウェスタン・ステイツやハードロック100マイルレースを好タイムで完走しています。編集者ということは一流選手の動きを見たり、さまざまなノウハウを常日ごろから収集したりできる立場にあるわけですから、その二人がレースで結果を出していることは本書に説得感をもたらします。
Bryon Powell氏はすでに『Relentless Forward Progress』という自著を 出していますが、今回は社員?でもあるMeghan.Hicksとの共著になります。
内容は以下のようになっています。
トレイルランを始める方に/トレイルの地形に応じたテクニック/トレイルランのウェアと装備 水分補給と栄養補給/体調の調整方法/トレイルラントレーニング/トレーニング計画を作成しよう/トレイルでのリスク管理/体調とケガや故障/レースに向けた準備
大体国内のトレイルランニング書籍と内容が似ています。やっぱり「スポーツの基本的な部分は同じで重要」と考えることができました。
まえがきに登場するのはKilian Jorunet/キリアン・ジョルネ。表紙裏には豪華な推薦文メンバー。2014年スカイランニング女子チャンピオンのエミリー・フォースバーグ(Salomon)に、ウルトラランニングの世界チャンピオンのロブ・クラール(TheNorthFace)、ウェスタンステイツ女子優勝のステファニー・ハウ(TheNorthFace)。
推薦文からも 「iRunFar.com」編集者の人脈の広さと人間関係がうかがえます。
本書はこれからトレイルランニングを始める方、始められたばかりの方向けに書かれていますが、国内の書籍と異なると感じた点は、より詳しく地形ごとの走りのアドバイスが書かれていること。高い障害物、低い障害物、岩場、砂地、泥沼など多岐にわたります。
写真が少ないため英語の読解力なしに読み進めることは難しいかもしれませんが、英語勉強もかねてぜひチェックしてみてください。
▼本書より
ロードのランニングでは「1分間に180ピッチが最適」と言われているが、トレイルランニングでは「1分間に180ピッチが最適」で、急斜面やテクニカルなコースでは1分間に200ピッチが最適である。
トレイルランニングではさまざまな方向に瞬時に動かなければならない。そのためランニングだけでなくサッカーや野球、ラクロスのような動きも求められる。
野球の練習を考えてみて欲しい。選手たちはボールを持たずに動きの練習に大部分の時間を費やす。トレイルランニングでもすぐ反応できるように日ごろからの練習が必要だ。
骨盤を上手く使うことが大事だ。
上級者になると難しい下りでは腕を少し高く上げて、脇を開いて両手でバランスを取る。
トレイルでは常に直線ルートを探すことが無駄な動きをせずに済む。
滑りやすいトレイルでは足裏全体で着地する。