【アドベンチャーレースから学ぶチームの役割とは?】
『アドベンチャーレースに生きる!』田中正人・著、田中陽希・著 Vol.124
皆さまは、「日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)」の第一回大会優勝者をご存知でしょうか?
本日の一冊は、ハセツネCUP第一回大会優勝者で20年以上にわたり活動を続けているイーストウィンドを率いる田中正人さん、チームメンバ一の裏舞台を紹介した一冊。
共著者は、同じくイーストウィンドのメンバーで、皆さまご存じの方も多い『日本百名山ひと筆書き』『日本二百名山ひと筆書き』の田中陽希さん。
20年の歴史を持つ老舗チーム『イーストウィンド』において、過去にどのようなメンバーが関わってきたのか、その中には現在はプロトレイルランナーとして活躍する石川弘樹さんやトライアスリートの白戸太郎さん、田中正人さんの奥さんの語りまで含まれ、読み物として面白い内容です。
より面白くしているのは田中正人さんと田中陽希さんの2人の視点で、チームについて語りが綴られていることです。
2人の会話の対比を読んで、結局のところ、チームの役割というのは人を励ますことにあるのではないかと思います。チームでやってしまいがちな「間違い」や関係を修復していく上での行動や考え方が学べます。
イーストウィンドがたどった道のりを追体験できる内容で、 アドベンチャーレースの過酷さと素晴らしさを、同時に体験させてもらった気がします。
巻末には田中陽希さんの言葉で、<実はいま、2018年以降の自らの新たな挑戦として「日本三百名山全300山の一気踏破」を構想している>次なる挑戦への発言もあります。
これは、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
◆目次◆
第一章 田中陽希 アドベンチャーレーサーとしての僕の道
白銀の世界から飛び込んだアドベンチャーレース/あの頃、誰かのせいにしていた弱い自分/もっと強くなりたい! 世界の果てから、日本百名山の旅へ/非日常が日常化していく、日本二百名山への挑戦/人との出会いが教えてくれた大切なこと/イーストウインド、次期リーダーとしての決意
第二章 田中正人 人生すべてをアドベンチャーレースに捧げて
研究者からプロ・アドベンチャーレーサーへの転身/極貧時代を共に過ごした仲間たち/「パンの耳では子どもは育たんぞ! 」/衝撃が走ったメンバーからのひと言 /世界で勝つため、真のリーダーを目指す/レースは予想外の出来事の連続/僕らを支えてくれる人たち/「弱い人を引き上げる」チームワークの方程式/陽希の弱さと強さ
第三章 仲間たちが語る 自分にとってのイーストウインド
イーストウインド参戦レース一覧
白石康次郎:イーストウインドは僕の青春だった
白戸太朗:本音でぶつかりあった仲間
石川弘樹:田中正人から学んだ競技者としての姿勢
平賀 淳:生きるべき道が見えた場所
駒井研二:アスリートカムで活きるレース経験
佐藤佳幸:言葉がなくても、わかり合える瞬間がある
和木香織利:大きな確執を乗り越え最高のチームが生まれた
西井万智子:見たことのない世界で知らない自分と出会う
竹内靖恵:妻から見たイーストウインド〈手記〉
第四章 田中陽希 現在地を知り、未来の道をつくる
山北が離れ、新たなチーム編成に/『2016年オーストラリア世界選手権』への始動/課題のひとつはパドリング/レース中の「睡眠」をどうとらえるか/イーストウインドのこれから