【探検家と冒険家の違いとは?】
『洞窟ばか』洞窟探検家 吉田勝次・著書 Vol.123
こんにちは。トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
何十年とテレビを観ていない時期があったのですが、「どうしてもこれだけは観る!」と初回放送から観ている番組が、毎週木曜の深夜00:10から放送のTBS『クレイジージャーニー』です。
MCは松本人志さん、設楽統さん 、小池栄子さんの3名。
現在、第四弾までDVDが出ていますが、いずれもオリコンDVDランキングでベストセラーになっています。
クレイジージャーニーとは?
番組では、「独自の視点やこだわりを持って世界や日本を巡る人々(=クレイジージャーニー)」と定義しています。毎回一般の人々とはかけ離れた価値観や常識、志向を持つ、常人には理解できない人たちが登場します。たとえば「リヤカーを引いて地球を歩き倒すリヤカーマン」「北極で偉業に挑む冒険家」など。
そんな数多くのクレイジージャーニーの中でも僕が最も「クレイジージャーニーだ」「何が楽しいのだろう?」と疑問に感じた人が、洞窟冒険家の吉田勝次さん。
本日ご紹介する一冊は、その吉田勝次さんによる著書『洞窟ばか』。
吉田勝次さんは1966年、大阪府生まれ。今まで入った洞窟は国内外含め1000以上。本業の建設業のかたわら社団法人日本ケイビング連盟会長を務め、テレビ番組での洞窟撮影、学術調査洞窟ガイド育成など、洞窟に関わることならすべて請け負う洞窟のプロガイド。
巻頭の洞窟写真だけでお腹いっぱいになりそうなほどの怖ろしくも美しい世界。
<なぜオレは洞窟を探検し続けるのか?その答えは単純だ。洞窟には正真正銘の「未知」があり、その未知なる世界に「行ってみたい」「見てみたい」と猛烈に思うし、いざ未知の空間に到達できれば、途方もない「感動」を味わえる。>
落石は日常茶飯事、300メートルの竪穴の底へとロープ一本で降りたり、突然の水流で溺れそうになったり、洞窟の中で方角がわからず迷子になったり。読んでいて身震いするエピソードが多数です。
<体力について言えば、どれだけあっても無駄になることはないし、あればあっただけ役に立つので、日ごろから徹底して鍛える意識を持つべきだ。>
<精神力の強さとは、言い換えれば「自分の感情をコントロールできること」「常に平常心が保てること」ではないかと思っている。>
<肉体と精神はひとつ。両方が揃ってこそ、困難や恐怖に打ち勝ち、奥へ奥へと進んでいくことができるのだ。>
洞窟好きが興じて探検ガイド事業部まで立ち上げてしまった吉田さんでも<22年間で3回ぐらい、急に洞窟が怖くなってしまい、洞窟を避けてしまった時期がある。>という話は意外で驚きました。
探検家と冒険家の違いとは?
個人的に興味深かったのは、著者が「冒険家ではなく探検家だ。この2つは似て非なる」呼ばれ方にこだわっていること。著者が辞書『広辞苑』で調べたところによれば、
「冒険」危険を冒すこと。成功の確かではないことをあえてすること。
「探検」未知のものを実地に探り調べること。また、危険を冒して実地を探ること。
<冒険はあえて危険を冒す行為、つまり危険を冒すこと自体が目的であるのに対して、探検の場合ははじめに未知の探求・調査があり、未知ゆえに結果として危険も生じてしまうのである。また、冒険は危険度が大きければ大きいほどその評価が高くなり、行為の結果に生死をあまり問わないのに対して、探検は未知の探査が目的なので、必ず生きて帰って「自分がどこに行って、何を見聞きしたのか」という実地で得た情報を第三者に発表しなければならない。>
本書を読んで洞窟探検の面白さ、少しはわかった気がします。
「こんな世界があるのか」と新しい旅の世界を開いてくれる一冊です。
冒険や探検が好き、自分の知らない世界に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
【探検家と冒険家の違いとは?】
『洞窟ばか』洞窟探検家 吉田勝次・著書 Vol.123